MIND DRIVE

思い通りに心を動かし,人生を好転させるために

【大学生必見】 未来に向けた目標設定よりも今すべきこと5つ

せっかく大学に入ったけどやりたいことが見つからない

大学に入ることだけが目標だったので、その先の進路がわからない

周りは将来の夢に向けて頑張っているのに自分は何もしていない

 

中学や高校までとは違い、大学では授業の時間割も自分で決められるし、サークルや部活に入ることも自由です。

アルバイトをしてお金を貯めれば、欲しいものを買ったり、旅行に行くこともできます。

 

しかし、一見自由を謳歌している大学生活も、しばらくするとその時間を持て余すようになり、漠然とした不安につきまとわれるようになります。

 

夢や目標を持って頑張っている友達を見ると焦る!
でも自分が何をしたらいいかわからないよ

 

あなたに必要なことは無理に目標を立てることではありません。
今はいろいろなことにチャレンジして将来起こりうるチャンス(偶然)を引き寄せる準備をしましょう。

 

記事の結論

将来の夢や目標は無理して持つ必要はない。

今できることを続けていればチャンス(偶然)を引き寄せることができる。

大切なことは、「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る

 

 

 

 

目標って本当に必要?

 

私たちは小さなころから、両親や教師から目標に向かって頑張ることの大切さを説かれ続けてきました。

 

そのせいか、将来の夢や目標を持たないでいることに焦り、周りの友達に置いていかれているようで不安になったりします。

 

ですが、本当に皆が皆、思い描いた通りの未来を生きているのでしょうか?

 

 

将来の目標や夢は変わるもの

 

マイナビが大学生を対象に行ったデータを見てみましょう。

 

Q. 大学に入学する前と後では、将来の目標や夢は変わりましたか?

 

 

出典:マイナビ学生の窓口

調査日時:2016年3月17日~3月19日

調査人数:大学生男女405人

 

 

この結果を見ると、実に4割以上の学生が「将来の目標や夢が変わった」ということになります。

 

えー、でも最近の大学生が飽きっぽいってだけじゃないの?

 

そんなことはありません。今から100年前の学生でさえも、当初の目標とは異なるキャリアに就いていたことがデータでも示されています。

 

下村・菰田(2007)は、『キャリア心理学における偶発理論ー運が人生に与える影響をどのように考えるかー』の中で、アメリカの大学生のキャリア選択についての研究を紹介しています。

 

Miller and Form(1951)によれば、1924年から30年にミネソタ大学を卒業した男子学生の49%が、大学入学前に決めていた職業とは別の職業に就いています。

 

また、1911年にハーバード大学を卒業した541名のうち50%が、25年後、卒業時に就きたいと思っていた職業には就いていませんでした。

 

このようなデータを援用して、Millerらは「偶然の経験は他のどんなものよりも選択に影響を与えてきたようだ」と述べています。

 

将来の夢や目標がないことを不安に感じるかもしれませんが、今も昔も人は思い描いた通りの進路を選択しているわけではないようです。

 

未来は誰にも予測できない

 

教育現場で行われる進路指導では、あらかじめ目指す就職先を決められ、そのために必要な資格の取得や語学の習得を勧められ、目標に向かって一直線に努力するという点が強調されることがほとんどです。

 

なぜなら、これまでは「企業に就職する」ということが当たり前のことであり、企業の側も新卒を一括採用し、定年まで面倒を見るというスタンスをとってきたからです。

 

ですが、既に日本企業の国際競争力は低下し、有名な大企業も海外資本に買収される時代が訪れています。

仮に新卒で入社しても定年までの40年の間に何が起こるかは予測できず、会社そのものの存続が危ぶまれるかもしれません。

既に終身雇用・年功序列の神話が崩れ去った現代では、大企業に就職すれば一生安泰という保証はまったくないのです。

 

こうした将来への不安もあってか、大学新卒者の就職後3年目時点での離職率は31.2%(厚生労働省, 2021)にものぼり、企業への期待と現実のギャップが拡大していることがうかがえます。

 

現代の流動的で多様化する社会の中で将来を見通すことは困難であり、従来型のキャリア理論とは異なる考え方が求められるようになりました。

 

こうした背景の中で注目を浴びるようになったのが、キャリアに影響を与える偶発的な出来事を重視する偶発理論です。

 

偶発理論では、その偶然性、さらには運命的な出会いといったセレンディピティが強調されます。

 

セレンディピティとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見するという意味です。

 

偶然を味方につけるために

 

巨万の富と名声を手にした著名人を見ると、彼らは華々しい経歴に彩られ、成功を約束されていたレールの上を歩んできたように思えます。

 

しかし、必ずしも成功者はわき目も降らずに目標に向かってきたとは限りません。

偶然から生まれたイノベーションをいくつか紹介します。



ペニシリン

科学者アレクサンダー・フレミングは第一次世界大戦中に従軍した際、多くの兵士が病原菌に感染し命を落とすのを目撃しました。帰国後、フレミングは病原菌の一つ「ブドウ球菌」に目をつけ、その培養から始めました。

あるとき研究中に捨てた汚れたシャーレについていたアオカビがすべてのバクテリアを溶かす性質を持っていることにフレミングは気づいたのです。

そのアオカビの性質を発達させたことで世界初の抗生物質(ペニシリン)が誕生しました。

 

ポストイット

1969年アメリカの化学メーカー3Mの研究員スペンサー・シルバーは強力な接着剤の開発に取り組んでいました。しかしできあがったのは、期待外れもいいところの簡単にはがれてしまう接着剤でした。

しかし数年後、同僚のアーサー・フライが本に紙を貼ることができないかと提案したことをきっかけにポストイットが誕生しました。

 

柿の種

柿の種を最初につくり出したのは、浪花屋製菓の創業者である今井與三郎であるとされています。

当時、手作業で薄くスライスした餅を重ね、小判型の金型で切り抜いてアラレを作っていたそうですが、あるときその金型をうっかり踏みつぶしてしまったのです。

直らないのでそのまま使用したところ、歪んだ小判型のアラレができあがり、今の柿の種の元になったのです。

 

彼らに共通する点は、将来を見通して目標を立てていたわけではないこと、そして彼らの身に起きた偶然を味方につけたことといえます。

 

ベストセラーにもなったデイル・ドーテン著『仕事は楽しいかね』の中にも次のようなセリフが述べられています。

 

”思いつき”と”偶然の出来事”は異母兄弟なんだ。注意さえ払い始めたら、目にできるありとあらゆるところに偶然は転がっているのがわかると思うよ

 

デイル・ドーテン著『仕事は楽しいかね』

 

 

成功者でも必ずしも目標通りの人生を歩んでいないってことはわかった。
けど、起こるかどうかわからない偶然を味方につけるってどうすればいいの?

 

もちろん偶然は予測できないから偶然なのです。
だからといって、ただ漫然と暮らしているだけではチャンスをつかむことはできません。
いつ人生を変えるか分からない偶然を呼び起こすために必要なことをまとめたものを計画的偶然理論といいます。

 

 

計画的偶然理論:チャンスを呼び込むための準備をする

 

計画的偶然理論(Planned Happenstance Theoty)とは、著名なキャリア理論家であるKrumboltzたちによって提唱され、近年注目を浴びている理論です (Mitchell, Levin, Krumboltz, 1999)。

 

この理論の面白いところは、「計画」と「偶然」という一見矛盾する二つの用語が入っているところです。

 

計画的偶然理論では、人が進路選択を行う際に、偶然の出来事が重要な役割を果たすということを前提としています。

偶然の出来事によって、本人も自覚していなかった新しい分野に対する興味が喚起され、新しい事柄を学習する機会が得られるようになります。

 

Krumboltzによれば、キャリアは偶然に左右されるもので合って、その偶然をうまく活用できるよう、あるいはそうした偶然を意図して呼び起こせるようにすることが大切であるといいます。

 

偶然の出来事が起こることに身を任せるのではなく、偶然の出来事が起こる確率を意図して上げていく、そういった意味で、「計画」と「偶然」という正反対とも言える言葉が結びついたのです(吉川, 2018)。

 

人生を変える偶然を呼び起こすために、Krumboltzは5つの要素を普段から心がけることが大事だと述べています。

 

偶然をチャンスに変えるための5つの要素

 

好奇心:新しい学びの機会を探求する

粘り強さ:うまくいかなくても努力を続ける

柔軟性:自らの態度を変え、周りの状況を変えていく

楽観主義:チャンスは訪れるものであり、それを活かすことができるのだと考える

リスクを取ること:結果が見えなくても行動を起こす

 

Krumboltzは、「先が見えない。現状から逃げたい。自分のキャリアが不安だが、どうしたらいいか分からず、何かきっかけをつかみたい」という人にこそ、これらのことを理解してほしいと述べています(Krumbolz and Levin, 2004/花田ら訳, 2005)。

 

将来は誰にも予測できませんが、何かが起こると信じて準備をすることは誰にでもできるのです。

 

そして、そのヒントは案外身近な所に転がっていたりします。

 

そんな何気ない出来事をつなげて世界的なイノベーションを起こした一人の経営者のエピソードを紹介したいと思います。

 

点と点とつなぐ

 

 

Apple社の創業者である故スティーブ・ジョブズのConnecting the dots(点を点をつなぐ)というエピソードを紹介したいと思います。

 

スティーブ・ジョブズはマッキントッシュ(MacBook)、さらにiPhoneやiPadなど革新的な数多くの製品を生み出すとともに、その製品の扱いやすさや美しさに徹底的にこだわった人物としても知られています。

 

とりわけ、マッキントッシュはマイクロソフト製のコンピュータと比べて、とても美しいフォントや使いやすい字間調整機能を備えていることでも知られています。

 

ジョブズは大学時代にカリグラフ(美しい書体)について学んでいたため、その知識をMackintoshにつぎ込むことで、機能だけではなくデザイン的にも優れたパソコンを開発することができたのです。

 

皆さんはジョブズの偉大な功績を十分に知っているので、彼が歴史を変えるような製品を次々と世に送り出したことは必然であると思うかもしれません。

 

しかし、ジョブズ自身もマッキントッシュに搭載することを想定してカリグラフを学んでいた訳ではありませんでした。

 

あることがきっかけで受講したカリグラフの授業が、彼自身も思いもよらず将来に大きな影響を与えたのです。



ハングリーであれ。愚か者であれ。

 

 

ジョブズが2005年にスタンフォード大学の卒業式で行った伝説のスピーチから一部引用します。

 

「自分の興味の赴くままに潜り込んだ講義で得た知識は、のちにかけがえがないものになりました。たとえば、リード大では当時、全米でおそらくもっとも優れたカリグラフの講義を受けることができました。キャンパス中に貼られているポスターや棚のラベルは手書きの美しいカリグラフで彩られていたのです。退学を決めて必須の授業を受ける必要がなくなったので、カリグラフの講義で学ぼうと思えたのです。ひげ飾り文字を学び、文字を組み合わせた場合のスペースのあけ方も勉強しました。何がカリグラフを美しく見せる秘訣なのか会得しました。科学ではとらえきれない伝統的で芸術的な文字の世界のとりこになったのです。」

 

家庭の事情により、大学を退学することを決意したジョブズは、単位取得のためではなく、自分の興味・関心のためにカリグラフの講義を受けることにしました。

 

しかし、彼自身もカリグラフを学ぶことが決まった目標のためであるとか、将来役に立つこととかを考えていた訳ではなかったのです。

 

「もちろん当時は、これがいずれ何かの役に立つとは考えもしなかった。ところが10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピューターの誕生です。もし大学であの講義がなかったら、マックには多様なフォントや字間調整機能も入っていなかったでしょう。ウィンドウズはマックをコピーしただけなので、パソコンにこうした機能が盛り込まれることもなかったでしょう。もし私が退学を決心していなかったら、あのカリグラフの講義に潜り込むことはなかったし、パソコンが現在のようなすばらしいフォントを備えることもなかった。もちろん、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。」

 

やがてマッキントッシュの設計に携わるようになったとき、ジョブズの脳裏にかつて大学で学んだカリグラフの講義が蘇ります。

 

そして、カリグラフの知識をマックに注ぎ込み、やがて世界を席巻する美しいフォントと優れた字間調整機能を持ったパソコンが誕生したのです。

 

しかし、これを単なるインスピレーションであるとか偶然であると片付けてはいません。

 

学生時代のジョブズは自分の可能性を狭めることをせず、そのときできることに情熱を傾けていた結果なのです。

 

「繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできませんできるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。」

出典:日本経済新聞2011年10月9日

ハングリーであれ。愚か者であれ」ジョブズ氏スピーチ全訳

 

 

大学生のあなたも、授業を受けていて「こんなものが何の役に立つんだ」とか「就職したらもう使うことはない」などと、無駄に感じることがあるかもしれません。

 

しかし、それが将来どんな役に立つかは誰にも予測できないのです。

たとえそれが高名な学者や偉大な発明家であっても。

 

今は虚空にぽつりと浮かんでいるように見える知識も、いつか星座のように点と点が結びつき(Connecting the dots)、イノベーションを起こす可能性を秘めています。



まとめ:将来ではなく、今できることから始めよう



大学生活は長かった学生時代の締めくくりであるとともに、時間を自由に使える最後の機会ともいえます。

だからこそ、いつ訪れるかわからない偶然を呼び込むために、今あなたができることから始めましょう。

 

自己理解:あなた自身のスキル、価値観、関心事を理解し、自分がどのような方向性を持つかを明確にする。

 

情報収集:自分の興味や能力に関連する情報を積極的に収集し、新しいアイデアや視点を得る。

 

人脈形成:社会的なつながりを作り、多様な人々とのコミュニケーションを通じて、新しい情報やアイデアを得る。

 

行動:情報収集や人脈形成などを基に、実際に行動を起こし、自分自身をさまざまな状況に置く。

 

たとえば、情報収集をするなら大学の図書館こそうってつけです。

古今東西のさまざまな蔵書と資料があなたの知的好奇心を満足させてくれます。

これほどの専門書がタダで読めるのは大学生ならではの特権です。

 

逆に、単位取得のためではなく、これまで興味のなかった授業を取るというのも一つの手です。

先生の話を聞いてみて初めて興味がわくということもありますし、仮にそのときは退屈でも、ジョブズのようにいつかそこで学んだ知識が役に立つ日が来るかもしれません。



また、人脈形成であれば、サークルに入ったりアルバイトをしてみたりするのが手っ取り早いです。

一人でいるには長すぎると感じる4年間も仲間ができれば、とても充実した大学生活を送ることができます。

また、大学で作った友人は一生ものです。そこで培った人脈によってあなたが助けられることも多々あるでしょう。

 

今をときめく俳優である大泉洋、安田顕、戸次重幸も、元々は北海学園大学の同じ演劇サークルで活動していた仲間たちです。

彼ら一人ひとりがとても魅力的で才能豊かな俳優ですが、もしもこの出会いがなかったら今ある道を歩んでいなかったかもしれません。

 

人との出会いは思いもよらない偶然をあなたに運んでくれます。

 

そして最後はこれらを行動に移しましょう。

人間は行動することで自己効力感が高まり、モチベーションも持続するようになります

 

 

minddrive.info

 

 

どれも身近で些細なことばかりですが、行動しているうちにきっとあなたにも人生の転機となる偶然(チャンス)が訪れることでしょう。

 

 

遊び感覚でいろいろやって、あとは成り行きを見守る

 

デイル・ドーテン著『仕事は楽しいかね』

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。 次回も生活の役に立つ心理学の情報をお届けしますので、どうぞお楽しみに!

 

文献

 

デイル・ドーテン(著), 野津智子(翻訳),(2001)『 仕事は楽しいかね?』, きこ書房

デイル・ドーテン(著), 「仕事は楽しいかね」研究会(編集), 藤森ゆゆ缶(作画)(2016). 『まんがで変わる 仕事は楽しいかね?』 きこ書房

Krumboltz, J. D., & Levin, A. S. (2004). Luck is no accident : Making the most of hppenstance in your life and carrer. Atascadero, CA : Impact. 花田光世・大木紀子・宮地夕紀子(訳)(2005)『その幸運は偶然ではないんです』 ダイヤモンド社

Mitchell, K.E., Levin, A., Krumboltz, J.D. (1999), Planned Happenstance: Constructing Unexpected Career Opportunities, Journal of Counseling & Development, Vol.77, pp.115-124.

下村英雄・菰田孝行 (2007). キャリア心理学における偶発理論:運が人生に与える影響をどのように考えるか, 心理学評論, 50, 384-401.