MIND DRIVE

思い通りに心を動かし,人生を好転させるために

口下手な人は頭が悪い?その思い込みがあなたの可能性を奪っている

誰かと一緒にいても会話が続かない

何を話そうか迷っているうちに何も話せず終わってしまう

どんな話を続けていけばよいか頭が回らない

人と会話をするときに自分の思うよう言葉が出てこず、自分は頭が悪いから口下手なんだと思い悩む人も少なくありません。

 

頭を良くして口下手な自分を変えたいなぁ

 

ちょっと待ってください!あなたが口下手だとしても、それが頭が悪い理由にはつながりません。正しいコミュニケーションのスキルとルールを身に着けることで口下手は改善できるのです。

 

 

口下手なのは頭が悪いからではなくスキルの不足

心理学的に考えれば、口下手であることは頭が悪いからではなく、コミュニケーションスキルの不足が原因といえます。

 

大事なのは、このスキルという部分です。

 

なぜならスキルとは日本語で技術とも訳される通り、車の運転のようにきちんと訓練することで伸ばすことができるからです。

 

正しいコミュニケーションの仕方は頭の良し悪しに関係なく、スキルとして身に着けることができるということを、ぜひ覚えておいてください。

 

それを踏まえて、まずは「コミュニケーションスキルとはなにか」ということから見ていきましょう。

 

コミュニケーションスキルとはなにか

 

実は心理学の分野でコミュニケーション能力やコミュニケーションスキルという概念はありませんでした。

 

代わりに円滑な対人関係を築く心理的な働きを表す概念としてソーシャル(社会的)スキルという用語が用いられていたのです。

 

ソーシャルスキルの構成要因として大坊(2006)は、以下の要因をあげています。

 

コミュニケーションスキル:自分の言いたいことを伝え、相手の言うことに耳を傾けられるか

対人関係の調整:どのように他者と意見や考え方を合わせるか

自己表現:自分をどう見せるか(自己呈示)、あるいはさらけ出すか(自己開示)

対人認知:他者の気持ちや内面をどう見るか

個人属性:その人自身のパーソナリティ(性格)や社会科の程度

メタ・コミュニケーション:場の雰囲気を察すること、以心伝心

文化規範:個人主義か集団主義か、主張的かあるいは調和的行動が重んじられるか

 

このように他者との関わりには様々な要因が絡み合っているのですが、大坊(2006)は最も重要なのがコミュニケーションスキルであると述べています。

 

一連の大坊の研究を踏まえ、牧野(2009)はコミュニケーションスキルを「日常生活において対人関係を円滑にするために必要なかつ適切な直接的技術とその知識」と定義しています。

 

最近では、コミュニケーションスキル不足の個人に対してコミュニケーションスキルを獲得させるためのコミュニケーションスキル訓練(communication skills training : CST)も行われています。

 

コミュニケーションの本当の意味

口下手だと思い込んでいる人にありがちなのが、「自分から何か話題をふらなくちゃ」「退屈させないためにしゃべり続けなければ」と相手とのやり取りのすべてを自分で請け負ってしまうことです。

 

ですが、コミュニケーションの本質は双方向であり、循環的であることです。

 

元々コミュニケーションという言葉は、ラテン語のcommunis(共通、共有)が由来であると言われています。

このことからコミュニケーションとは、情報や思想、態度などのメッセージが一方通行ではなく、相互通行によって共通理解や共感に達するに至るプロセスであるといえます(中村, 1993)。

 

つまり、自分のメッセージを相手に正確に届けるということと同じくらい、相手からメッセージを正確に受け取って自分の行動に生かすかということが大事なのです。

 

思い込みを捨てるための3つのマインドセット

 

自分が口下手だと思い込んでいる人ほど、次のような考えにとらわれがちです。

 

本当の自分をさらけ出すのは怖いから、なるべく自分のことは話さない

相手を退屈させないために、自分から積極的に話しかけるべきである

思っていることはすべて言葉で表現しなくてはならない

 

結論から言えば、こうしたコミュニケーションの方法はすべて間違っています。

 

自分のことを口下手だと思い込んでいる人の多くは、自己肯定感が低い一方で、他者を気遣うことができるという長所を持っています。

 

しかしながら、その誤った認識がコミュニケーションの妨げになってしまうこともあるのです。

 

以下の3つのマインドセット(心構え)を参考に、まずは間違った思い込みを捨て去りましょう。

 

自分自身を理解し、勇気を出してさらけ出す

 

①自分とはどんな人間かを理解する

自分自身の個性や特徴(自己概念)を理解することは、自己の日常の行動に大きな影響を持つと同時に、他者とのコミュニケーションのうえでも大きな影響を持ちます。

たとえば、「自分は欠点が多く人より劣る」と考えている人は、引っ込み思案になり、他者とのコミュニケーションにおいても極めて消極的になります。

しかし、自分への理解が深まれば深まるほど、相手の立場やメッセージを正しく理解しやすくなり、コミュニケーションも円滑になります。

 

②ありのままの自分をさらけ出す

自分の良いところだけでなく、悪いところも相手にさらけ出すことを自己開示といいます。

自己開示は自分に関する情報を他人に知らせることであり、相手に対する好意や信頼感の表れといえます。そうすると自己開示の受け手も同じように自分をさらけ出すようになるのです(自己開示の返報性)。

そのため自己開示は、その返報性によってコミュニケーションを円滑化するとともに、自分自身の理解の助けともなります。

 

 

私たちは自分のことをすべて分かっていると思いがちですが、なくて七癖ともいわれるように、意外に気づいてない部分が少なくありません。

それに気づかせてくれるのが、他者への自己開示なのです。

自己開示をすることで、私も他人も知っている開放領域が広がり、より自己理解が深まるという好循環が生まれます。

 

まずは相手の話に耳を傾ける

 

コミュニケーションにおいては、相手の話を「聞く(hear)」ではなく、「聴く(listen)」でなければいけません。「聞く」は単純に耳に入ってくるだけの受け身の状態ですが、「聴く」は意識的かつ積極的な行為だからです。

アメリカの大学生を対象に行われた調査によると、聴くために費やされる時間がコミュニケーション全体の時間の42%〜53%を占めているそうです(宮原, 1992)。

コミュニケーションが共通理解の相互通行であるからこそ、「話す」ことの前に、まず「聴く」ことの方に力を注いだ方が良いでしょう。

 

言葉よりも大切なあなたのしぐさ

 

言葉や文字を使わずに表情や身体の動きなどで行われるコミュニケーションのことをノンバーバル(非言語)コミュニケーションといいます。

私たち人間は言葉を巧みに扱う唯一の動物であることから、コミュニケーション=言語と考えがちですが事実は異なります

他者のコミュニケーションの理解や解釈は、実に93%がノンバーバルコミュニケーションで成り立っており、言語の役割はわずか7%に過ぎないことを示した実験もあります(Mehrabian & Wiener, 1967)。

 

非言語コミュニケーションの機能について、Argyle(1988)は以下のように述べています。

顔・体・声で感情を表現する(特に人間は豊かな顔の表情で、今の自分の感情を表すことができる)

相手に対する態度を伝える(距離、声の調子、触れ合い、視線、表情などにより対人関係をを形成、維持していく)

言語行動に伴って、それを支持する(うなずいたり、見つめたりする非言語行動は、発言内容を補足し内容の濃いメッセージとなる)

自己表現(服装や化粧、アクセサリーなどもその人の個性や価値観を伝える働きがある)

儀礼(あいさつなどの日常的行動において非言語行動はとても重要)

 

ノンバーバルコミュニケーションは、親密な対人関係を形成する上でとても重要な機能を持っています。言葉だけでは伝えることができないあなたの考えや気持ちをノンバーバルコミュニケーションが補い、他者との相互作用を促してくれるのです。

 

コミュニケーションの基本的スキル

 

コミュニケーションの心構えは分かったけど、具体的にどんなスキルが大事なのかを知りたいよ

 

押さえておくべきスキルはたったの6つです。その6つを身に着けるだけで口下手な人でも自信を持ってコミュニケーションできるようになります。

 

コミュニケーションの基本の形は、あなたと相手の一対一の会話といえます。

会話の基本的スキルを実行することによって、コミュニケーションを円滑に進めることができます。

これについて中村(1996)は、6つの対話スキルを提示しています。

受容:相手の話を終わりまで批判せずに、許容的に聴く。これによって相手の信頼感が得られる。

質問:質問することによって相手への関心があることを伝え、関係を維持しやすくなる。さらに相手に関する情報を得られ、相手をより理解することができるようになる。

繰り返し:相手の話のエッセンスを整理して相手に返すこと(「要するに~ですね」)。繰り返しを行うことで、相手も自分の考えがまとまることもある。

明確化:言葉の裏に潜んでいる相手の感情や意図を指摘すること。

支持:相手の言うことがもっともであると思ったとき、賛成し、力づけること。

主張:人間関係のなかでとられる人の行動には、攻撃的行動非主張的行動主張的行動の3種類があるといわれる。特に主張とは、他人の権利を侵すことなく、自分の意見や考え、欲求、感情などを率直かつ適切な方法で表現することである。これにより、コミュニケーションにおける相互尊重、自己信頼、フェアプレーの精神が得られる。

コミュニケーションはお互いを理解し合うためのプロセスであり、社会生活の中でコミュニケーションを通じて、人は人間としての存在感を確かめ、自己実現の欲求を満たしていくものです。

 

これらを踏まえた上で、より実践的な場面で役立つコミュニケーションのルールを紹介しましょう。

 

今日から使えるコミュニケーションのための3つのルール

 

アメリカの教育心理学者であるマーティ・ネムコは、Psychology Todayに寄稿した記事の中で、より良いコミュニケーションを行うための3つのルールを提示しています。

 

ピンポンルール

 

これまでも繰り返し述べてきたように、コミュニケーションはお互いの共通理解を得ることが何より大事です。そのためには二人の関係性が平等であることが重要です。

ネムコは二人の会話では、話し手が40~60%以上の時間を占めるべきではないと述べています。それ以上話すと、自己中心的で口数が多く、相手の意見に興味がないと思われてしまうからです。

逆に発言率が低いことも良いことではありません。発言率が低いと、相手に負担を強いている、発言が少ない、会話に興味がないと思われるなど、さまざまな悪影響があります。

会話はピンポンのように話し手と受け手が交互に入れ替わることが望ましいといえます。

 

信号機ルール

 

信号機ルールとは、相手があなたの話にどれくらい興味を持って聴いてくれるかを青から赤までのサインで示したものです。

 

(最初の30秒):話初めの30秒間は信号は青であなたの話に興味を持って耳を傾けてくれています。

(30秒~60秒):30秒から60秒の間は信号が黄色に変わり、興味が薄れ、相手が返答を望んでいるか、あなたの言ったことを処理するか、あなたがピンポンルールを破っていると感じている可能性があります。

(60秒以上):あなたの話の持ち時間が60秒を超えたとき、信号は赤に変わり、相手はあなたの話に興味を失います。

 

ネムコ自身も1分を超えて一方的に話をすることはほとんどないと述べています。

自己開示という意味でも自分から話をすることは大事ですが、夢中になりすぎて相手の時間を奪ってしまわないように気をつけましょう。

一時停止ルール

 

誰でもまだ話している最中に急に遮られたり、話し終わった瞬間に返事をされるのは決して気分の良いことではありません。人は自分の言ったことが無視された、あるいは価値がないと感じると、コミュニケーションがうまくいかなくなります。

ネムコは、返事をする前に1秒だけ間を置くという、シンプルで効果的な方法を提案しています。そうすることで、相手の話を聞いていると感じられるだけでなく、考える機会にもなり、よりよい返答ができるようになるのです。

 

頭の回転を速くして口下手を改善しよう

 

なかなか思うように言葉が出てこずに、自分は頭が悪いとか、口下手だと思い込んでしまう原因は、もしかしたら前頭前野の働きが鈍っているせいかもしれません。

 



前頭前野を活性化するための脳トレは、脳のワーキングメモリに関係するものが効果的です。

ワーキングメモリとは、行動しながら必要な情報を呼び出し、一時的に記憶する能力で、作動記憶とも呼ばれます。物事の優先順位を決めたり、同時進行したりする時にも活用されるワーキングメモリは、疲労やストレス、加齢により低下する傾向があります。

 

minddrive.info

 

 

前頭前野を鍛えるトレーニングにおすすめなのが、「音読・計算・運動」です。これらは特定の行動をしたときに活性化する脳の部位について調べたもので、毎日短時間行うだけで脳を活性化させることができます。

 

以上のような方法で前頭前野を鍛えることで、判断力や記憶力、さらにはコミュニケーション能力までアップさせることが期待できます。

 

音読

 

音読は、黙読よりも脳全体が活性化し、特に記憶や学習、思考などを担う前頭前野を活性化させる効果があります。

 

新聞や本を小さな声で音読する:内容を要約したり、印象に残った単語や数字を思い出したりすると効果的です。

難しい漢字や言葉を含む文章を音読する:発音や意味を確認しながら行うと良いです。

詩や歌詞などのリズム感のある文章を音読する:感情や表現力も豊かになります。

人前で発表するときの原稿やスピーチなどを音読する。自信や集中力も高まります。

 

 

かんたんな計算

 

計算トレーニングといっても決して難しい問題を解く必要はありません。

小学生でも取り組めるような簡単な問題の方が、むしろ脳を活性化することが知られています。

 

計算トレーニングの方法としては、以下のようなものがあります。

 

簡単な足し算や引き算を素早く行う

九九や暗算を繰り返す

電卓や紙に書かずに計算する

 

毎日少しずつできるドリルや楽しみながらできる脳トレゲームも活用してみてください。

 

 

軽い運動

 

朗報です。実は軽い運動をするだけで頭の回転も速くなることが研究によって分かっています。

 

運動というと健康増進かダイエットのためという理由が真っ先に思い浮かびます。

さらに息が弾む程度のややキツメの運動が奨励されることが多く、運動が苦手な人や高齢者にとっては敬遠されがちでした。

 

しかし、筑波大学と中央大学の共同研究グループは、たった10分間の軽い運動でも前頭前野が活性化し、注意、集中、判断、計画実行などの実行機能を高めることを世界で初めて実証しました。

 

軽い運動は散歩やヨガ、ラジオ体操など簡単に取り組めるもので十分です。

会話のときになかなか思うことが言葉にできない、考えがまとまらないという人は、ぜひ少しだけでも良いので体を動かしてみてください。

 

 

AIを相手に練習できる英会話アプリ

 

なんで英会話?と意外に思うかもしれませんが、実は最近の英会話アプリのAI(人工知能)は驚くほど性能が良いのです。

 

AI相手であれば口下手や人見知りで悩んでいる人でも緊張することがありません。

AI英会話アプリのメリットとデメリットを比較してみましょう。

 

メリット

オンライン英会話より安く、時間や場所を選ばずに学習できる。

AIが発音や文法をチェックしてくれたり、褒めてくれたりするのでモチベーションが上がる。

英語学習が習慣化されやすく、自分のレベルや目標に合わせてカスタマイズできる。

デメリット

AIが発音や流暢さをうまく読み取ってくれないことがある。

バグや不具合が発生することがある。

上級レベルの問題が易しいことがある。

 

多少のデメリットはあるものの、緊張せずに会話の練習と英語の学習ができるということを考えればメリットの方がはるかに大きいと言えます。

 

おすすめのAI英会話アプリはスピーク(Speak)です。

無料で始めることができるので、ぜひAI相手の英会話を楽しんでください。

その性能の高さにきっと驚かれると思います。

 



まとめ

 

あなたが口下手なのは決して頭が悪いせいではありません。

口下手な人に不足しているのはコミュニケーションスキルです。

コミュニケーションスキルは正しいマインドセットと簡単なトレーニングで伸ばすことができます。

 

自信がついたらやってみること

まずは両親や兄弟、良く見知った友達など身近な人との会話から初めてみましょう。

このとき、意識することは「相手の目を見ながら会話をする」ということです。

相手に視線を合わせながら会話をする場合と、そうでない場合とでは、視線を合わせながら会話をする方が前頭前野が活性化することが分かっています。

小さな成功体験はあなたの自信を取り戻し、大きく成長させてくれます。

まずは、小さなステップから始めて成功体験を積み重ね、自分が口下手だという思い込みを捨てさってしまいましょう。

 

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。 次回も生活の役に立つ心理学の情報をお届けしますので、どうぞお楽しみに!

 

文献

 

Argyle, M. (1988). Bodily Communication, Second Edition, Methuen.

大坊郁夫 (2006). コミュニケーション・スキルの重要性, 日本労働研究雑誌, 48(1), 13~22.

牧野幸志 (2009). 中学生を対象としたコミュニケーション・スキル訓練の開発(1)ー中学生のコミュニケーション・スキル,精神的健康の性差,学年差の検討ー, 経営情報研究, 17(1), 1-16.

Mehrabian, A. (1981). Silent messages : Implicit communication of emotion and attitudes. California : Wadsworth Publishing Company.

文部科学省 (2005).  情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会報告書

中村安治 (1993).  コミュニケーションスキルの構造:コミュニケーション・スキル教育の視点からの一考察, 松蔭女子学院大学紀要, 34, 27-41.